京都・滋賀、幸せの日本酒ブログ

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蒼空の醸造元「藤岡酒造」仕込み期間中の酒蔵見学に行ってきた

2018年4月17日

先日、藤岡酒造さんの酒蔵見学に行ってきました。
結論から言うと、行ってよかったです。

日本酒を飲むとき、作り手の顔や想いが想像できると格別に美味しいですよね。
今回も、そんな体験ができました。

もしかしたら、今後は醸造期間中も見学を実施するかもしれないとのことでした。
これから参加する方の参考になるかもしれないので、レポートしますね。

では、さっそく。

蒼空醸造元「藤岡酒造」酒蔵見学レポ

最近、SNSにどっぷりハマってまして。
中毒と呼べるぐらい、暇があったらウォッチしてます。

で、ある日、フェイスブックのタイムラインに藤岡酒造さんの緊急告知が!
なんでも、今まで受け付けてなかった仕込み期間中の蔵見学をテスト実施するのだとか。

しかし、募集人数は14名。藤岡酒造さんは人気ですからね~。狭き門か?
で「いいね!」の人数を見ると23人。まだ間に合うかも!

ダット
仕事中にもかかわらず、速攻で応募メール送りました。
そしたら返信が!幸い当選できました!

当日は朝の5時半起きだったんですけど、意気揚々と早起きして出かけました。

定刻に、酒蔵Barえん(藤岡酒造さん内の利き酒処)からスタート。
点呼、見学代金(700円)の支払いを済ませます。

酒蔵Barえん

そのあとは、小屋裏(屋根裏)を改装した「会所場」へ。
藤岡酒造さんのインスタグラムにこの部屋の詳しい説明がありますので、お借りします。

ようやく8割程完成したでしょうか ワクワクが止まりません! 「造り酒屋」 16年前に酒造りを再開した時に私はこの言葉を強く意識していました。 当時私の目には 多くの酒蔵はお酒を造る事に徹し お酒の美味しさや楽しさを伝える事を酒屋さんや飲食店さんに委ねているように映りました。 これから酒造りを再開するに当たり新生藤岡酒造は従来通りのお酒を造るだけの造り酒屋のままで良いのだろうか… その想いが ガラス越しに仕込み蔵を見ながら利き酒が出来る「酒蔵Barえん」を作らせたのですが もう一歩踏み込んで伝えていきたいと考え この部屋を作りました。 「会所場」 本来は蔵人達がくつろぐ大広間を指す言葉ですが 弊社では今回作ったこの部屋に使いたいと考えています。 今後 蔵見学やイベント等に使っていきますので どうぞ宜しくお願い致します。 #蒼空 #sookuu #藤岡酒造 #造り酒屋 #会所場 #伝えたい想いがあります

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この写真に写ってるのは、搾りで使う(ふね)ですね。
後述しますが、以前の酒蔵で使っていたものをテーブルとして再利用されてます。

イス(2枚目の写真)も、以前の酒蔵の梁(はり)を切って作ったものだそうです。
どちらも、素敵でした。

その椅子に座って、槽にガラスを乗せたテーブルを囲み藤岡酒造さんの歴史を傾聴。
日本酒“蒼空”にかける想いや、酒米のことなど教えていただきました。

槽のテーブル

座学のあとは、酒蔵に移って見学です。

さっそく、お馴染みのあのビンがズラリとならんでるのを発見。
ゆらぎのある透明感と曲線がセクシーな、ベネチアグラスのビンです。

蒼空のビン

今回の見学では、蒸米(じょうまい)の作業を見せていただきました。

蒼空の蒸米

続いて、仕込み中のタンクも。

蒼空の仕込みタンク

搾り機も、見せてもらいました。

藤岡酒造さんでは、早く搾れるヤブタ式を使ってません。
三日かかる槽搾りにこだわり、より雑味が少ないお酒を目指しているそうです。

槽搾りの機械

続いて上槽(じょうそう)のあとの原酒が入ったタンクも。
すごくいい香りがして、色がライムグリーンでした。

原酒のタンク

以上で、およそ1時間ちょっと。
伏見一小さい酒蔵で、コンパクトな動線はかえって内容が濃い見学につながってました。

酒造りの工程を深く知れるとともに、醸造にかける想いがよくわかった見学でした。

見学者14名の大半が、顔見知り?
集合のとき、そこら中から「あ、どうも!あなたも見学?」みたいな挨拶が。

ダット
ファンが多く、ファン同士の交流も熱いんだなと感じました。
見学を終えてファンが多い理由が垣間見えた気がするし、ボクもファンになりました。

藤岡酒造と日本酒「蒼空」について

藤岡酒造さんの酒蔵見学に行ってみたい!
そう思った方のために、藤岡酒造さんについて少し詳しく書いておきますね。

まず、所在地から。
藤岡酒造さんは、京阪桃山駅から徒歩8分ぐらいのところにあります。

今回の見学、どの部分を取っても有意義でした。
中でも一番よかったのが前半の座学だったと、ボクは思ってます。

蒼空だけ飲んでても知る由もないこと、イッパイ知ることができました。
そのことを、ちょっと自分流にお伝えできたらなと思います。

ボクごとき部外者が書くことじゃないかもですが。
やっぱり、蒼空は誕生の歴史なくして本質を味わえないような気がするのでシェアします。

平成7年、蔵を閉じる

藤岡酒造さんの現在の当主は、五代目・藤岡正章さんです。
そのお父様、三代目・藤岡義文さんが平成6年に急死されます。

そのあと、蔵を閉ざしたくないとの想いでお母様が四代目を継がれますが、お酒の消費低迷や阪神大震災の影響を受け、考えに考え翌年廃業の道を選ばれます。

ここでいったん、藤岡酒造さんも当時の代表銘柄だった“万長”も途絶えることに。
敷地の9割りは「梅の花」という豆腐懐石料理屋さんに貸し出されます。

藤岡酒造

いっぽう、東京農大や醸造研究所をへて酒問屋で流通を学んでいた正章さん。
先輩や学友が活躍しだすのを見て、ただただ羨ましくて悔しかったそうです。

「親父さえ生きていれば、俺も今頃酒造りしてたかもしれない」
「阪神大震災さえなければ、蔵を解体せずに済んだかもしれない」

目標をなくした正章さんでしたが、あるとき「杜氏に頼らず、少人数で酒造りをする蔵」があることを知ります。

藤岡酒造の復活と蒼空の誕生

「家族だけで、酒造りができるかもしれない」
「蔵の大部分はなくなったけど、駐車場にしている赤レンガ倉庫を使えるかもしれない」

新たな目標ができた正章さんは、問屋を辞め全国の蔵を訪ね修行を始めます。
そして、ついに、平成14年に倉庫を改修。タンク4本、30石の蔵を復活させます。

小さな新生・藤岡酒造さんには量は作れない。目指したのは、良質なお酒。
脳裏にあったのは、廃業前の最後に作った“万長”だったそうです。

万長

伏見は日本酒のブランド。
かつては万長も「伏見」と付ければ味に関係なく売れたそうです。

しかし、再興をかけ最後に仕込んだ万長は、今までのものとは別格だったそうです。
そんなお酒ができたのに、蔵を閉ざすしかなかった。さぞ、悔しかったでしょう。

すべての酒を大吟醸と同じように丁寧に作る」そう決めた正章さん。
最後の万長を継ぐ、優しく爽快な青空をイメージした“蒼空”を誕生させます。

蒼空に込める想い、そしてこれから

青空を見上げたときの優しい気持ちになれるように」と命名された蒼空。
正章さんは、このお酒を造るのにいろいろ地の利や時の利があると言います。

まず、伏見にいること。そして、伏見の名水・白菊水を使う最も上流の蔵であること。
SNSで自分の想いを伝えられること、駅から近くアクセスしてもらいやすいこと。

仕込めるのは1週間に1タンク。総生産量もわずか200石。だから、量より質。
一度閉ざした蔵だからこそ、何でもできる。制約の中だからこそ、蒼空の息吹が生まれる。

蒼空

京都は和食のメッカ。おダシの文化が息づく街。
正章さんは蒼空を「おダシの柔らかさを損なわない、柔らかいお酒」にしたいそうです。

理想は、お椀のあとにスッと手が伸びるお酒。
ですが、一般的な伏見酒は「ひとつ甘味が多く、ひとつ味が多い」のだとか。

そんな理想に向かっていくうちに、少しずつ青空が見えてきたとおっしゃる正章さん。
「生産量はもう上げられないけど、質はまだまだ上げられる余地がある」そうです。

ダット
これから毎年、蒼空を飲むのが楽しみになりました。

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蒼空といえば、ベネチアグラスの瓶とコルク栓。
正章さんが全国を探し歩き、惚れ込んで採用したそうです。

透明な瓶だから、お酒の色の移ろいがわかる。
できたてのライムグリーンが、舌だけでなく目も楽しませてくれます。

サイズも冷蔵庫のポケットに収まりやすく、男性2合弱、女性1合、夫婦で飲み切れる500mlです。

蒼空の瓶

今、正章さんは米作りに取り組んでおられます。

ワイナリーを訪ねたとき、土やブドウへの取り組みに感銘を受けたのがきっかけとか。
そして、ひるがえって自分はどうか考えたとき、もっと米の勉強したいと。

それから、蔵づくり米に最適な品種、土地を探すこと数年。
ようやく、左京区大原でキヌヒカリの生産にこぎつけたそうです。

酒造りを突き詰めていくと自分の手で米を作りたくなった 2002年 京都伏見の地に赤レンガの倉庫を改造し小さな小さな酒蔵が生まれました。 自分が納得する酒を造りたいとこだわり、米と水だけを原料にした「純米酒」をただひたすら丁寧に醸しています。ひとつひとつの工程に手間暇を掛ける為 一般的に一日にタンク一本ずつ仕込むところを藤岡酒造では一週間に一本しか仕込めません。そのため製造期間は大変長いのですが できるお酒はほんの僅か。それでも、酒造りを再開してから、そのこだわりに変わりはありません。 そんな酒造りのなか、毎年杜氏を兼ねる私が考えるのは昨年よりも旨い「蒼空」を造るということ。その想いを実現するため、技術向上を図るだけでなく 酒造期間外には 各地の物づくりの現場に足を運び、学びと刺激を得ています。ある年 蔵を見学させて頂いたワイナリーで、原料である葡萄とそれらを育てる土への強烈なこだわりを目の当たりにし、強い衝撃を受けました。 翻って、私どもの米への取り組みはどうなのか。毎年農家さんを訪ねて 酒造りに使用する米の育成状況を見て回ってはいましたが、それだけではまだ足りないのではないか。より旨い「蒼空」を造るには 原料である米の勉強は不可欠であり、そのためには自分で田に足を入れ、苗を手で植え、雑草を抜き、汗をかく。そうして米を知り、土を知り、「蒼空」の成長に繋げていく。それこそが自らの手で米を作り始めた理由です。 「蒼空」の生まれる土地 伏見は、その昔 「伏水」と書いていたようにどこを掘っても良質な水が出る土地です。なかでも最良の地下水とされる「白菊水」は、東から西に向かって流れており 伏見の蔵のなかで最も東に位置する藤岡酒造は 質・量ともに最高の水に恵まれております。 その素晴らしい水と自分たちで育てた米で新たな「蒼空」を造りたい。この想いを胸に、より良い米と育成に適した土地を探すこと数年、ようやく京都大原にて米作りが始まりました。 大原は京都市の北東に位置し、東西を山に挟まれ、南北に川が流れる閑静な土地です。鹿や猪そして土竜も出るほど自然に恵まれた地の棚田で、山からの清涼な風を浴び、豊富な沢の水を利用して現在米作りに励んでいます。品種はキヌヒカリ。大原で最も多く作られ親しまれているお米です。 大原に通い丹精込めて稲を育て、そして稲刈りを行った米と、伏水の白菊水で造った「蒼空 蔵づくり米 キヌヒカリ」は、こうして完成しました。 自ら杜氏となり培った技術と経験のすべてを使い、創業からの藤岡酒造の歴史の中でも究極の酒と、自信を持ってお届けいたします。 五代蔵元 藤岡正章 #蒼空 #sookuu #藤岡酒造 #蔵づくり米 #キヌヒカリ #大原 #米作りからの酒造り #新たな第一歩

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いやもう、何もかもしびれました。
ボクはもう、藤岡酒造さんと蒼空の今後から目が離せないです。

蒼空は生産量が少なく、全国流通してません。
気になる方がおられたら、ぜひ伏見に来て飲んでみて欲しいです。

きっと、京都観光の想いでが優しい蒼さにつつまれるのではないでしょうか。

まとめ

蒼空の醸造元、藤岡酒造さんの酒蔵見学に行ってきました。
醸造期間中の試験見学とのことでしたが、どっぷり蒼空の魅力を見せていただきました。

今回あらためて思ったのが、蔵元さんの想いに触れるって大事だなということ。
お酒を飲んでるだけでは知ることができない、そんな魅力が発見できます。

心底「日本酒の魅力って、ビンに詰まった液体だけじゃないんだなぁ」と思いました。

以下、酒蔵見学の概要です。

名称 藤岡酒造 株式会社
住所 京都府京都市伏見区今町672-1
電話 075-611-4666
最寄駅 京阪本線「伏見桃山駅」から約450m(徒歩約8分)
駐車場 近くにタイムズあり
※ 飲酒運転は厳禁!
定休日 毎週水曜日
予算 酒蔵見学700円
所要時間 約1時間

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