先日、藤岡酒造さんの酒蔵見学に行ってきました。
結論から言うと、行ってよかったです。
日本酒を飲むとき、作り手の顔や想いが想像できると格別に美味しいですよね。
今回も、そんな体験ができました。
もしかしたら、今後は醸造期間中も見学を実施するかもしれないとのことでした。
これから参加する方の参考になるかもしれないので、レポートしますね。
では、さっそく。
蒼空醸造元「藤岡酒造」酒蔵見学レポ
最近、SNSにどっぷりハマってまして。
中毒と呼べるぐらい、暇があったらウォッチしてます。
で、ある日、フェイスブックのタイムラインに藤岡酒造さんの緊急告知が!
なんでも、今まで受け付けてなかった仕込み期間中の蔵見学をテスト実施するのだとか。
しかし、募集人数は14名。藤岡酒造さんは人気ですからね~。狭き門か?
で「いいね!」の人数を見ると23人。まだ間に合うかも!
そしたら返信が!幸い当選できました!
当日は朝の5時半起きだったんですけど、意気揚々と早起きして出かけました。
定刻に、酒蔵Barえん(藤岡酒造さん内の利き酒処)からスタート。
点呼、見学代金(700円)の支払いを済ませます。
そのあとは、小屋裏(屋根裏)を改装した「会所場」へ。
藤岡酒造さんのインスタグラムにこの部屋の詳しい説明がありますので、お借りします。
この写真に写ってるのは、搾りで使う槽(ふね)ですね。
後述しますが、以前の酒蔵で使っていたものをテーブルとして再利用されてます。
イス(2枚目の写真)も、以前の酒蔵の梁(はり)を切って作ったものだそうです。
どちらも、素敵でした。
その椅子に座って、槽にガラスを乗せたテーブルを囲み藤岡酒造さんの歴史を傾聴。
日本酒“蒼空”にかける想いや、酒米のことなど教えていただきました。
座学のあとは、酒蔵に移って見学です。
さっそく、お馴染みのあのビンがズラリとならんでるのを発見。
ゆらぎのある透明感と曲線がセクシーな、ベネチアグラスのビンです。
今回の見学では、蒸米(じょうまい)の作業を見せていただきました。
続いて、仕込み中のタンクも。
搾り機も、見せてもらいました。
藤岡酒造さんでは、早く搾れるヤブタ式を使ってません。
三日かかる槽搾りにこだわり、より雑味が少ないお酒を目指しているそうです。
続いて上槽(じょうそう)のあとの原酒が入ったタンクも。
すごくいい香りがして、色がライムグリーンでした。
以上で、およそ1時間ちょっと。
伏見一小さい酒蔵で、コンパクトな動線はかえって内容が濃い見学につながってました。
酒造りの工程を深く知れるとともに、醸造にかける想いがよくわかった見学でした。
見学者14名の大半が、顔見知り?
集合のとき、そこら中から「あ、どうも!あなたも見学?」みたいな挨拶が。
見学を終えてファンが多い理由が垣間見えた気がするし、ボクもファンになりました。
藤岡酒造と日本酒「蒼空」について
藤岡酒造さんの酒蔵見学に行ってみたい!
そう思った方のために、藤岡酒造さんについて少し詳しく書いておきますね。
まず、所在地から。
藤岡酒造さんは、京阪桃山駅から徒歩8分ぐらいのところにあります。
今回の見学、どの部分を取っても有意義でした。
中でも一番よかったのが前半の座学だったと、ボクは思ってます。
蒼空だけ飲んでても知る由もないこと、イッパイ知ることができました。
そのことを、ちょっと自分流にお伝えできたらなと思います。
ボクごとき部外者が書くことじゃないかもですが。
やっぱり、蒼空は誕生の歴史なくして本質を味わえないような気がするのでシェアします。
平成7年、蔵を閉じる
藤岡酒造さんの現在の当主は、五代目・藤岡正章さんです。
そのお父様、三代目・藤岡義文さんが平成6年に急死されます。
そのあと、蔵を閉ざしたくないとの想いでお母様が四代目を継がれますが、お酒の消費低迷や阪神大震災の影響を受け、考えに考え翌年廃業の道を選ばれます。
ここでいったん、藤岡酒造さんも当時の代表銘柄だった“万長”も途絶えることに。
敷地の9割りは「梅の花」という豆腐懐石料理屋さんに貸し出されます。
いっぽう、東京農大や醸造研究所をへて酒問屋で流通を学んでいた正章さん。
先輩や学友が活躍しだすのを見て、ただただ羨ましくて悔しかったそうです。
「親父さえ生きていれば、俺も今頃酒造りしてたかもしれない」
「阪神大震災さえなければ、蔵を解体せずに済んだかもしれない」
目標をなくした正章さんでしたが、あるとき「杜氏に頼らず、少人数で酒造りをする蔵」があることを知ります。
藤岡酒造の復活と蒼空の誕生
「家族だけで、酒造りができるかもしれない」
「蔵の大部分はなくなったけど、駐車場にしている赤レンガ倉庫を使えるかもしれない」
新たな目標ができた正章さんは、問屋を辞め全国の蔵を訪ね修行を始めます。
そして、ついに、平成14年に倉庫を改修。タンク4本、30石の蔵を復活させます。
小さな新生・藤岡酒造さんには量は作れない。目指したのは、良質なお酒。
脳裏にあったのは、廃業前の最後に作った“万長”だったそうです。
伏見は日本酒のブランド。
かつては万長も「伏見」と付ければ味に関係なく売れたそうです。
しかし、再興をかけ最後に仕込んだ万長は、今までのものとは別格だったそうです。
そんなお酒ができたのに、蔵を閉ざすしかなかった。さぞ、悔しかったでしょう。
「すべての酒を大吟醸と同じように丁寧に作る」そう決めた正章さん。
最後の万長を継ぐ、優しく爽快な青空をイメージした“蒼空”を誕生させます。
蒼空に込める想い、そしてこれから
「青空を見上げたときの優しい気持ちになれるように」と命名された蒼空。
正章さんは、このお酒を造るのにいろいろ地の利や時の利があると言います。
まず、伏見にいること。そして、伏見の名水・白菊水を使う最も上流の蔵であること。
SNSで自分の想いを伝えられること、駅から近くアクセスしてもらいやすいこと。
仕込めるのは1週間に1タンク。総生産量もわずか200石。だから、量より質。
一度閉ざした蔵だからこそ、何でもできる。制約の中だからこそ、蒼空の息吹が生まれる。
京都は和食のメッカ。おダシの文化が息づく街。
正章さんは蒼空を「おダシの柔らかさを損なわない、柔らかいお酒」にしたいそうです。
理想は、お椀のあとにスッと手が伸びるお酒。
ですが、一般的な伏見酒は「ひとつ甘味が多く、ひとつ味が多い」のだとか。
そんな理想に向かっていくうちに、少しずつ青空が見えてきたとおっしゃる正章さん。
「生産量はもう上げられないけど、質はまだまだ上げられる余地がある」そうです。
蒼空といえば、ベネチアグラスの瓶とコルク栓。
正章さんが全国を探し歩き、惚れ込んで採用したそうです。
透明な瓶だから、お酒の色の移ろいがわかる。
できたてのライムグリーンが、舌だけでなく目も楽しませてくれます。
サイズも冷蔵庫のポケットに収まりやすく、男性2合弱、女性1合、夫婦で飲み切れる500mlです。
今、正章さんは米作りに取り組んでおられます。
ワイナリーを訪ねたとき、土やブドウへの取り組みに感銘を受けたのがきっかけとか。
そして、ひるがえって自分はどうか考えたとき、もっと米の勉強したいと。
それから、蔵づくり米に最適な品種、土地を探すこと数年。
ようやく、左京区大原でキヌヒカリの生産にこぎつけたそうです。
いやもう、何もかもしびれました。
ボクはもう、藤岡酒造さんと蒼空の今後から目が離せないです。
蒼空は生産量が少なく、全国流通してません。
気になる方がおられたら、ぜひ伏見に来て飲んでみて欲しいです。
きっと、京都観光の想いでが優しい蒼さにつつまれるのではないでしょうか。
まとめ
蒼空の醸造元、藤岡酒造さんの酒蔵見学に行ってきました。
醸造期間中の試験見学とのことでしたが、どっぷり蒼空の魅力を見せていただきました。
今回あらためて思ったのが、蔵元さんの想いに触れるって大事だなということ。
お酒を飲んでるだけでは知ることができない、そんな魅力が発見できます。
心底「日本酒の魅力って、ビンに詰まった液体だけじゃないんだなぁ」と思いました。
以下、酒蔵見学の概要です。
名称 | 藤岡酒造 株式会社 |
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住所 | 京都府京都市伏見区今町672-1 |
電話 | 075-611-4666 |
最寄駅 | 京阪本線「伏見桃山駅」から約450m(徒歩約8分) |
駐車場 | 近くにタイムズあり ※ 飲酒運転は厳禁! |
定休日 | 毎週水曜日 |
予算 | 酒蔵見学700円 |
所要時間 | 約1時間 |
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