京都・滋賀、幸せの日本酒ブログ

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無印良品「日本酒 純米無濾過原酒」を飲んでみた!1800円は高い?

2018年12月21日

家飲みログ、63本目。
今回は、京都・滋賀以外の日本酒のレビューです。

飲んだのは、無印良品の「日本酒 純米無濾過原酒」です。
造ってるのは、千葉県鴨川市の亀田酒造さん。

無印良品らしさがシッカリ表現された、素朴と洗練が同居した日本酒ですね。
オールラウンダーな感じで、一般家庭の食中酒として使いやすそうです。

ではさっそく、レビューしますね。

無印良品「日本酒 純米無濾過原酒」を飲んだ感想

もう知ってる方が多いと思いますけど、無印良品が日本酒を扱ってます。

ただし、販売店が限られてて、以下の4店舗だけになります。
(2018年11月末現在)

  1. 有楽町店
  2. グランフロント大阪店
  3. 難波店
  4. MUJIキャナルシティ博多店

で、グランフロントに行く用事ができたので、買ってきました。

その名も「日本酒 純米無濾過原酒」です。
ラベルからして、いさぎよし。

日本酒 純米無濾過原酒 表
日本酒 純米無濾過原酒 裏

さっそく、味見を。

ニャコ
香りは、フルーティな感じとかスーッとする感じとか。
あと穀物的なモワッとした香りとか、ほんのりフローラルな香りとか。複雑。
ダット
甘味は、穏やかやね。大福もちの皮みたいな上品さ。
あと、イチジクみたいな個性的な甘味もあって、やっぱり複雑。
ニャコ
酸味は涼しげだけど、ドッシリ感もある。
苦味はしっとり穏やかで、最後キュっと締めてくれるね。いい強さ。
ダット
複雑で個性的なんやけど、いろんな料理に合わせやすそう。
お酒単独で飲んでも良さそうやし、オールラウンダーなお酒。

個性的なのに、なかなか使い勝手が良さそうな日本酒です。
開栓後から日増しに味わいのバランスがよくなり、美味しくなりました。

なんとな~く、無印良品らしい日本酒ですね。
素朴と洗練が同居してるというか、心地よい飾り気の無さみたいなものがあります。

なぜか、素材の産地名が付くような料理と合わせたくなりますね。
加茂茄子の田楽とか、明石鯛のカルパッチョとか。

無印良品「日本酒 純米無濾過原酒」でペアリング

このお酒を買ったのが8月ということもあり、キリっと冷やして飲みたい気分。
田舎の風景を見ながら、縁側とかでトウモロコシかじりつつ飲みたい。

そんなイメージがしたので、トウモロコシをゆでてみました。
あと、枝豆も塩ゆでに。

うちの周りはそんなに景色よくないけど、せめて昼間に青空見上げて飲めばよかった?

とうもろこしと枝豆

このお酒は、素材の味を楽しめるような料理がいいかもですね。
できるだけ味付けとか火入れとか少なめで食べられる料理も、合いそう。

ということで、筑前煮と小皿2品。

1サラ目は、トマトとチーズ。
2サラ目は、キュウリとミョウガとシラス干し。

筑前煮と小皿2品

つづいて、焼きシイタケと天ぷらうどん。

焼きシイタケは、ちょっとだけ醤油をつけて。
天ぷらは、うどんに乗せて。

開栓後すぐは苦味や酸味が後引いたんですけど、数日経つと引き揚げ方がきれいに。
油ものの後味も、スッキリ引き取ってくれますね。

焼きシイタケと天ぷらうどん

魚、いってみましょう。
鮭とマイタケとエノキをホイル焼きに。

これは、ポン酢で。
日本酒の甘味と苦味が、さらに穏やかになったように感じます。

鮭の臭みも、スッと切れます。

鮭とマイタケとエノキをホイル焼き

次は、チキン南蛮。
ガッツリした料理もいってみます。

ワイングラスにしたからか、甘味が濃醇に。
料理も日本酒も、美味いです。

チキン南蛮

ちなみに、ぬる燗(40℃前後)以上にするか冷やす方が美味しく感じました。
常温より、ぬる燗の方がバランス良いです。

飛び切り燗(55℃前後)ぐらいでも、大丈夫。
お米の旨味や雑味が広がっていくようで、美味しかったです。

1,800円は高い?

この日本酒は、1,800円します。
ボクたち日本酒好きからしたら「ちょっと高くね?」って思いますよね。

でも、無印良品の日本酒は「これでいい」んです、たぶん。

なぜなら、この日本酒はいわゆる日本酒ファンのための日本酒じゃないから。
無印良品の理念や顧客体験を「よし」と感じる人が、買っていくんです。

ニャコ
まぁ、無印の他の商品も同じやね。
ダット
そうそう、深澤直人さんがデザインしたCDプレイヤーとかね。
良い意味で、音響機器好きのためのものじゃないよね。

じゃあ、その理念とか顧客体験ってなんなのか?
ちゃんと、1,800円の価値を感じられるものなのか?

順に、考えてみましょう。
まずは、顧客体験から。

無印良品「日本酒 純米無濾過原酒」の顧客体験

この日本酒の顧客体験を知るにあたり、誕生のストーリーや背景を見ていきましょう。

日本酒のストーリー

この日本酒は、千葉県鴨川市にある亀田酒造さんで造られています。
鴨川里山トラスト」という農業体験イベントの中で生まれたんですって。

鴨川里山トラストについては、無印良品のホームページに説明があります。
引用させてもらいますね。

千葉県鴨川市にある、雨水だけで耕作する天水棚田。

高齢化にともない維持管理が困難になっていたこの棚田を、都市に住む人達と共に保全することで、自然環境・伝統的なくらしの文化・人と自然が調和した里山空間を、未来の世代へ手渡したい。

そんな想いから、「くらしの良品研究所」は「NPO法人うず」と共同で「鴨川棚田トラスト」という名称で2014年5月から田植え・田の草取り・稲刈りなどの農業体験イベントを行ってきました。

じつは、この「鴨川里山トラスト」から生まれたお酒が他にもあります。
そちらの方は、寺田本家さんが醸造されてて「自然酒 天水棚田」というそうです。

「自然酒 天水棚田」は、農業イベントの参加者のみもらえるみたいですね。
(参加費に日本酒代が含まれてる)

以下のリンク先に「自然酒 天水棚田」のことが載ってます。
それから、棚田の維持費が足りないこと、やめると災害につながることが書かれてます。

該当箇所を引用させてもらいます。

僕が移住した15年前、お米は1俵(60kg)15000円でしたが去年はとうとう8000円台となり、今年は7000円台にまで下がると言われています。1俵15000円でも農家は厳しいと言っていましたが、今は半値以下となり米価は益々下がる一方です。

~中略~

おりゃ~昔、棚田サミットで新潟の棚田へ行った時によう、山の中で県の予算を何千万円も使って地すべり工事をしているのを見たんだ。俺はその時、一緒にいた県の役人に、こんな誰も住んでねえ山の中で、そんな工事したって税金の無駄使いじゃねえかって言ってやったんだ。

~中略~

そしたらよう、その県の役人は、俺にこう言ったんだ。この山の上で今この工事をしなければ、いずれ下の街にもっと大きな被害を及ぼす事になると。そして、その地すべり工事が必要になったのは、棚田をやらなくなったからだと。

つまり、棚田を継続することは原風景や文化だけでなく国土も守ってると。
予想以上に奥深いですね。

で、この日本酒を買って飲むという行為は、棚田の保護に協力することになるわけです。
そういう背景に想いをはせると、日本酒に慈しみの感情すら覚えますよね。

ニャコ
日本酒にたいする慈しみ。棚田にたいする慈しみ。
子を想うような気持ちになるよね。
ダット
農業イベントに参加した人は、特にね。

この日本酒を晩御飯の食卓に置くと、なんだか幸福感につつまれそうです。
北欧で言うところの「ヒュッゲ」みたいな。

「日本酒 純米無濾過原酒」と無印良品の理念

さて、つづいてこの日本酒と無印良品の理念について考えてみます。

この日本酒は、こんなところが無印良品らしいなと思うんです。

  • 長狭米コシヒカリ100%使用
  • 1種類のみ
  • 濾過せず、加水せず、原酒のまま

この日本酒は、そもそも棚田を、土地を守るための活動から生まれてます。
だから酒造好適米ではなく、その棚田で育った飯用米で造ってます。

それから、造られる日本酒は「純米 無濾過原酒」のみ。
無印らしい潔さ、簡素さですよね。

「濾過せず、加水せず、原酒のまま」瓶詰するのも同様。
素材の味わいを最大限感じて欲しい顧客に渡るまでの工程がエコ」を感じます。

予備知識

無印良品のコンセプトは「素材の選択・工程の点検・包装の簡易化」です。
 
顧客目線で徹底的に無駄をそぎ落とし、キャッチフレーズの「わけあって、安い。」を実現しています。

こういう日本酒を造ったその根底にある理念とは、どんなものでしょうか?
そもそも、なぜ無印良品が棚田の維持に協力しているのでしょうか?

もともと無印良品は、西友のプライベートブランドとして誕生しました。
なので、近江商人の「三方よし」の精神が根底にあるそうです。(近江は今の滋賀県)

ダット
「三方よし」とは「売り手よし、買い手よし、世間よし」のこと。
西友の母体だったセゾングループは、滋賀県出身の堤氏が創業されたんです。

「三方よし」の詳しい説明がウィキペディアにあるので、引用します。

売り手の都合だけで商いをするのではなく、買い手が心の底から満足し、さらに商いを通じて地域社会の発展や福利の増進に貢献しなければならない。

引用:ウィキペディア「近江商人」より(最終更新 2018年7月27日)

つまり、そもそも無印良品は顧客主義や社会貢献に前向きなんだと思います。
で、この日本酒もまさしく「三方よし」の商品じゃないかな、と。

地域貢献事業「鴨川里山トラスト」の農業イベントを通じて育てた飯用米で造ってること。
その飯用米に付加価値を付けて販売し、棚田の維持に貢献していること。

そして、この日本酒を買っているのが無印の理念や顧客体験に共感する人たちであること。
この状態って、世間(社会)と買い手と売り手で「よし」が循環されてますよね。

日本酒の売り場

この日本酒は、スマホで言えばiPhone。車で言えば、MINI。
手帳で言えば、ほぼ日手帳なんだと思います。

理念や顧客体験に共感する人にとっては、他と比較したり選択することがないのでしょう。
高級軸でもお手軽軸でもなく、顧客密着軸で事業をおこなう無印良品らしい商品ですよね。

だから、1,800円は誰も痛みを感じていない「三方よし」なんじゃないでしょうか。

予備知識

無印良品には「これがいい」じゃなく「これでいい」というコンセプトがあります。
 
この日本酒を買う方も「『これでいい』という理性的な満足感」を持って購入してるのではないでしょうか。

まとめ

無印良品の「日本酒 純米無濾過原酒」を買ってみました。
日本酒としては、後半伸びる子ですね。開栓後数日で、とても美味しくなりました。

味わいは純米酒らしい個性があり、やや濃醇です。
あまり料理を選ばないお酒ですが、とくに和食系の素材を活かした料理がオススメです。

日本酒にストーリーを求めない人には、ちょっと値段が高いかもしれません。
逆に、背景を知り「これでいい」と感じて購入できるなら、ヒュッゲな食卓になりますよ。

以下、この日本酒の概要です。

販売者 株式会社 良品計画
製造者 亀田酒造 株式会社
分類 純米酒
酒米 千葉県鴨川市大山地区産「長狭米」コシヒカリ100%
精米歩合 70%
アルコール度 17度
日本酒度 -
酸度 -
参考価格 1,800円(税込)/720ml

無印良品公式ページはこちら

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