先日、英勲(えいくん)の醸造元、齊藤酒造さんへ蔵見学に行ってきました。
齊藤酒造さんが蔵見学を開催されるのは、けっこうめずらしいんですよ。
蔵開きイベントなんかの機会に、少人数限定で実施される程度です。
試飲もできて、メチャメチャ満足。
レポしておきたいと思います。
では、さっそく。
まいまい京都で行く英勲醸造元・齊藤酒造蔵見学レポ
さて、やってきました。
伏見の大手筋にある英勲醸造元、齊藤酒造さんです。
全国新酒鑑評会で「14年連続金賞受賞」という、押しも押されもせぬ名酒蔵。
齊藤酒造さんの代表銘柄「英勲」は、ファンが多いです。
蔵開きが開催されると、こんな感じになります。
この写真は、3月に開催された「伏見日本酒まつり」の様子です。
右上の大きな建物が酒蔵。左上の2階建ての建物が事務所。
今回は、まず事務所にて座学から。
次に酒蔵を見学して、また事務所に戻って試飲会という流れでした。
定刻になり、まずは社長・齊藤透さんのお話からスタート。
呉服商を営んでいた齊藤家は9代目が酒造をはじめ、透さんが12代目になるそうです。
その歴史や、代表銘柄「英勲」の名前の由来。
お酒造りに込める想いなどを拝聴することができました。
英勲の「勲」の字は、9代目の戒名の1文字目なんですって。
酒造りの始祖に守られたお酒なんですね。
そのあとは、製造責任者の中村さんにバトンタッチ。
ビデオを使って、酒造りの工程を解説してくださいました。
そのあとの酒蔵の見学が、理解しやすくなりました。
水の話も、おもしろかったです。
伏見は2km四方に20以上の蔵が密集していて、みんなで伏見の水を見守ってる、と。
伏見を走る近鉄電車は、当初地下に潜らせる計画だったそうです。
敷設地の隣に陸軍施設があったので「電車から敷地内が見えるとマズイから」だとか。
でも、そんなことしたら地下水に鉄分が混じったりして致命的なダメージが!
それで陸軍とやりあって、水質を守ったこともあったそうですよ。
座学のあとは、いよいよ蔵見学です。
撮影してもいいのは、入り口まで。内部はNGでした。
頭とクツを覆って、準備OK。
まずは、京都を代表する酒米「祝(いわい)」の説明から。
祝のイネは、背が高く倒れやすい。なおかつ、収穫量が少ない。
蒸したら柔らかく扱いが難しいうえ、わりと高価と聞きます。
そういうハードルが高い酒米であるにも関わらず、齊藤酒造さんは積極的に祝を使います。
その理由は「オール京都産の日本酒」にこだわってるから。
作ってるお酒の半分ぐらいは、祝が原料なんですって。
京都産酵母「京の珀」で造ったお酒もあるし、麹(こうじ)も京都で作ってるとか。
さて、蔵の内部はすでに今期の醸造が終わっていて、片付けした後の状態でした。
でも、なんとなくあの良い香りがただよってるんですよね。
あながち間違いじゃないな、それ。
齊藤酒造さんの蔵は大きくて近代的なので、設備が整い合理的に作業できる環境でした。
まだ勤務年数が浅い社員さんでも、洗米機が操れるようになってたり。
麹室(こうじむろ)も大きかったし、本醸造を寝かすタンクもでかかった!
中村さんの説明も、ジョーク交じりですごいわかりやすかったです。
最初に見たビデオのこともあり、よく理解できる見学でしたよ。
さてさて、いよいよお待ちかねの試飲会ですよ。
代表銘柄“古都千年”をはじめ、最高級酒“一吟”。
“本醸造 京の珀”、酒1グランプリで優勝した“純米吟醸 生原酒 24h”など。
うむ、たまらん。
一番盛り上がるところですね。
英勲って、古都千年は売ってるのよく見かけるんですけど。
他は出会う機会が少ないうえ、通販や直販所限定酒もけっこうあるんですよね。
本当においしいお酒が多いので、こうやって並ぶとワクワクします。
あと、社長をはじめスタッフの皆様営業トークがうまいんですよ。
嫌味なくオススメされるので、財布のひもがゆるみ直販所には行列が。
なんとも楽しい2時間でした。
齊藤酒造ってどんな醸造会社?
さて、今回の蔵見学や事前の予習で知ったことを書いておこうと思います。
まず、齊藤酒造さんの所在地から。
伏見桃山駅から大手筋商店街を抜け、1kmほど西へまっすぐ歩いたところにあります。
齊藤家は、伏見に移ってきた当初“井筒屋”の屋号で呉服商をされていました。
今も“一吟”と双璧をなす最高級酒として、その名が残っていますね。
酒と同じく、呉服にも清流が必要。
かつて伏見には港があり物流も盛んだったので、絶好のロケーションだったでしょう。
しかし、伏見鳥羽の戦いのときに井筒屋の店舗は焼け落ちてしまいます。
さらに追い打ちをかけるように、東京遷都や鉄道の敷設で伏見の勢いが陰ることに。
窮地に立った9代目・宗太郎さんは、大阪の稲荷神社の辻占(つじうら)を頼ったのだとか。
辻占は、夜中に川側に立って最初に出会った人がどんな人かでお告げを得る占いです。
宗太郎さんが待ってると、一升徳利をぶら下げた大工が鼻歌歌いながらフラフラと・・・。
神主さんに報告すると「造り酒屋をしなさい」と言われ、宗太郎さんは一大決心をします。
それが明治28年(1895年)、宗太郎さん18歳のときでした。
英勲好きとしては「齊藤工務店」にならなくてよかった・・・。
当初“大鷹”や“柳政宗”という銘柄で新事業に乗り出した齊藤酒造さん。
宗太郎さんが若くして亡くなり、未亡人が盛り立てる形で9歳の10代目が跡を継ぎます。
そして、なんとか安定し始めた大正4年(1915年)。
天皇が即位されたお祝いがあり、その年始めて“英勲”が誕生します。
先述のとおり「勲」は9代目の戒名の一文字目です。
宗太郎さんを忍ぶお酒であり、宗太郎さんに見守られたお酒なんですね。
12代目の齊藤透さんは「酒造りは液体を作ってると勘違いしてはダメ」とおっしゃいます。
その本質は「楽しみ商売」であり、世の中の娯楽と競合しているのだとか。
齊藤社長いわく「深夜のサッカー中継を見る人は、その日の晩酌量を控えるかもしれない。
それはFIFAと競合して、日本酒が負けたということ」と。
「酒が持っているすべての物語や背景まで含めて、商品なんです」
「英勲を飲んで『おいしい』と言われるより『楽しかった』と言われるのがうれしい」
いつも思うことですが、蔵元さんや蔵人さんのお話を聞くと心が高ぶります。
そういう体験をしたあと飲むお酒って、格別なんですよね。
本醸造と純米吟醸生原酒24hを買って帰ったので、楽しみながらいただきたいと思います。
まいまい京都の酒蔵見学はオススメです
今回の「齊藤酒造 酒蔵見学」は、まいまい京都さんのツアーを利用して参加しました。
まいまい京都は、京都在住の専門家がガイドする京都の有料ミニツアーです。
観光名所というよりは、知る人ぞ知る京都が見られる感じのツアーですよ。
詳しくは、以前行ったキンシ正宗さんのツアーレポで説明してます。
興味ある方は、こちらもどうぞ。
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まいまい京都の「キンシ正宗酒蔵見学&飲み比べ」に行ってみた
先日、まいまい京都を利用してキンシ正宗さんの蔵見学に行ってきました。 「まいまい京都」というのは、京都住民がガイドする京 ...
先述のとおり、齊藤酒造さんの酒蔵見学はとてもレアです。
開催告知を発見したら、条件反射で体が勝手に参加申し込みするレベル。
おすすめポイントは、この3点ですね。
- 蔵元さんや蔵人さんのお話が聞ける
- めったに見られない蔵の中を見られる
- 酒屋であまり出会わないお酒を試飲できるかも
なので、齊藤酒造さんのFacebookは要フォローです。
告知をみつけたら、すぐに・・・いや、ボクの次ぐらいに申し込みしてね。
まいまい京都さんは、ときどき酒蔵見学ツアーを開催されてます。
個人で行くより濃い体験ができるので、同じく要フォローですよ。
ということで、リンクを貼っておきますね。
レポは以上です。
齊藤酒造さん、まいまい京都さん。
楽しい体験をありがとうございました!!
まとめ
まいまい京都さんの「齊藤酒造 酒蔵見学ツアー」に参加してきました。
仕込みは終わっていましたが、酒蔵見学と試飲ができました。
齊藤酒造さんの酒蔵見学はレアで、かつ何種類も試飲できる機会もめずらしいです。
今回のツアーも、受付開始からあっという間に満員になってました。
参加できて良かった・・・。
京都を代表する酒蔵と言えば、月桂冠さんや黄桜さん、宝酒造さんになるのかも?
でも、祝米で作った日本酒の代表なら「英勲」と言っても過言ではありません。
ますます、祝いで作った齊藤酒造さんのお酒を飲むのが楽しみになりました。
以下、今回の見学ツアーの概要です。
ツアー名称 | 「英勲」の味を決める男、中村さんといく!酒づくりの現場へ |
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場所 | 齊藤酒造 |
参加費 | 2,500円(税込) |
最寄駅 | 伏見桃山駅(目的地まで1km) |
開催時間 | 14:00~16:00 |
問い合わせ | まいまい京都事務局 TEL:075-462-2312 |
まいまい京都の最新情報はこちら。
齊藤酒造さんの商品はこちらで買えます。
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