最近、甘酒の売り上げが急拡大しているそうです。
今まで縮小の一途をたどってたのに、2012年から4年で4倍ですって!
どうも甘酒の「飲む点滴」という通称や、美容健康効果が一役買ってるみたいですね。
で、甘酒には「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類あって、それぞれ効果が違うとか?
今回は甘酒の凄さについて調べてみたので、ご興味ある方はどうぞ。
いやほんと凄いですよ、甘酒。
ではさっそく、解説していきますね。
「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の違い
ご存知と思いますが、まずは甘酒についての基本的なところから。
甘酒には「米麹(こめこうじ)甘酒」と「酒粕(さけかす)甘酒」があります。
いったい、何が違うのでしょう?
もう1種類あんの?
米麹で作った甘酒の方らしいよ。
「米麹」も「酒粕」も日本酒の原料の一部です。
米麹は、米がお酒になる前。酒粕は、米がお酒になった後にできます。
簡単な図解にすると、こんな感じです。
じつは「どの工程の原料で作った甘酒か?」というのがとっても大切。
これが「美容・健康効果の違い」になるんです。
それぞれの特徴を、もう少し詳しく解説しますね。
アルコール0%で砂糖不使用「米麹の甘酒」とは?
蒸した米に麹(こうじ)と呼ばれるカビの一種をかけると、米麹ができます。
米麹の見ためは、白い綿毛のようなものにおおわれてます。
↓こんな感じ。
米麹の甘酒は、米麹にお湯を加え発酵させて作ります。
酒粕の甘酒と違い、砂糖は使いません。
麹カビの働きで米のデンプンからブドウ糖が造られるので、甘く感じます。
酵母の働きでおこる「アルコール発酵」前なので、アルコール0%。
ですから「子供や妊婦でも飲める」とうたってる商品もありますね。
ポイント
栄養学からみても優秀な「酒粕の甘酒」とは?
米麹に「酵母菌・蒸米・水」を加えていくと醪(もろみ)ができあがります。
この醪をこさずにそのまま製品化したのが、白くてドロドロした“どぶろく”です。
醪を布袋や圧搾機につめてしぼると、清酒(日本酒)が出てきます。
いっぽう、袋や圧搾機には白いペースト状や板状のものが残ります。
その残ったものが、酒粕ですね。
↓板状のものは、こんな感じ。
以前、藤居本家さんの蔵開きでいただいた酒粕はペースト状でした。
なんと、100円で袋に詰め放題。
まろやかな味の酒粕で、粕汁にしたら美味しかったです。
酒粕は、麹カビと酵母菌の2つの発酵の力で栄養価がとても高くなっているそうです。
酒粕には、ほとんど甘味がありません。
麹が作ったブドウ糖が、酵母によってアルコールと二酸化炭素に分解されたからです。
アルコール(エタノール)にも甘味(と苦味)があるけど、ほぼ清酒に行ってしまいます。
なので酒粕の甘酒は、酒粕をお湯でといて砂糖をまぜて作ります。
ポイント
甘酒と白酒の違い
甘酒と似たような飲みものに“白酒”があります。
よくひな祭りなんかで飲まれてる、アレです。
見ためは、ほとんど同じに見えますけど。
甘酒と白酒は、何が違うんでしょう?
農林水産省のホームページに、詳しい説明があったので引用させてもらいますね。
白酒は、みりんや焼酎などに蒸したもち米や米こうじを仕込み、1ヶ月程度熟成させたもろみを、軽くすりつぶして造った酒のことをいいます。
昔からひな祭りなどで供えられ、白く濁り粘りと甘みがあり、アルコール分は9%前後、糖質が45%程度含まれ、酒税法ではリキュール類に分類されています。
なるほど。
白酒はミリンや焼酎、もち米なんかを使って作ると。
米麹の甘酒はアルコール0%。酒粕の甘酒も1%未満。
それに対して、白酒のアルコール分は9%前後もあるんですね。
飲む点滴ってほんとう?甘酒の健康効果
甘酒は「飲む点滴」と呼ばれてるそうです。
なんとなく意味がわかるようで、わからない・・・どういうことなんでしょう。
結論から言うと、甘酒にブドウ糖が含まれてるから「飲む点滴」なんです。
ブドウ糖は、疲労回復に有効なんですね。(即効性がある)
そのブドウ糖を使って、エネルギーを補給してるんやって。
だから、酒粕の甘酒は「飲む点滴」とは呼ばれへんらしい。
もう少し、詳しくみてみましょう。
米麹甘酒が「飲む点滴」と言われる理由
まず、米麹の甘酒100g中の主な成分を表にしてみますね。
成分名 | 分量 |
---|---|
水分 | 79.7g |
たんぱく質 | 1.7g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 18.3g |
灰分 | 0.2g |
ナトリウム | 60mg |
カリウム | 14mg |
カルシウム | 3mg |
マグネシウム | 5mg |
リン | 21mg |
鉄 | 0.1mg |
亜鉛 | 0.3mg |
銅 | 0.05mg |
マンガン | 0.17mg |
ビタミンB1 | 0.01mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ナイアシン | 0.2mg |
ナイアシン当量 | 0.5mg |
ビタミンB6 | 0.02mg |
葉酸 | 8μg |
食物繊維 | 0.4g |
食塩相当量 | 0.2g |
表:文部科学省「食品成分データベース」より抜粋
ほぼ、水と炭水化物(ブドウ糖の素)ですね。
炭水化物が、麹カビのもつ酵素(アミラーゼ)の働きでブドウ糖に変わります。
つづいて、点滴で使われる「ブドウ糖-電解質液 ソルデム1」の成分を見てみましょう。
1袋(500ml)の中に、水と以下の有効成分が含まれてるそうです。
有効成分 | 分量 |
---|---|
ブドウ糖 | 13.0g |
塩化ナトリウム | 2.070g |
L-乳酸ナトリウム液 | 2.240g |
こちらも、水とブドウ糖がメイン。
その点は、似てますね。
それにしても、点滴って栄養成分はほとんど含まれてないんですね。
やっぱり、バランスいい食事を摂った方がいいんちゃう?
う~む、ではなぜブドウ糖を摂ると疲労回復するんでしょう?
大日本明治製糖のホームページにわかりやすい説明があるので、引用させてもらいます。
私たちの体は血液中の糖、脂肪酸をエネルギー源としているため、血糖値が低下するとエネルギーの補給が出来なくなり、動くこともできない疲労状態となります。
通常、脳はブドウ糖だけをエネルギーとしていますので、血糖値の低下は思考力、集中力の低下につながります。
ふむふむ、活動するためのエネルギーはブドウ糖から作られるんですね。
しかも、脳のエネルギー源はブドウ糖のみ!?
疲れたときに甘いものが欲しくなるのは、体の自然な反応なんですね。
大事なことなので、もう一回。
疲れたときに甘いものが欲しくなるのは、体の自然な反応なんです。
では、なぜ酒粕甘酒は「飲む点滴」じゃないんでしょう?
砂糖入ってるけど、それではダメなんでしょうか?
先述のとおり、米麹の甘酒に含まれてるのは麹カビが作った「ブドウ糖」です。
体内でこれ以上分解する必要がないので、すぐ脳や体で使えるんです。
この栄養補給の早さこそ、米麹甘酒が「飲む点滴」と言われる理由なんですね。
他にも、甘酒にはビタミンB群やアミノ酸も含まれています。
これらも疲労回復に役立ちます。
甘酒の「疲労回復」以外の健康効果
さて、米麹の甘酒には「即効性のある疲労回復効果」があることがわかりました。
じつは、甘酒にはそれ以外にもいろんな美容・健康効果があるそうです。
たとえば、TBSの「この差って何ですか!?」で以下の効果が紹介されてました。
-
米麹の甘酒の健康効果
- 疲労回復
- 肌荒れ対策
米麹の中のエルゴチオネインには、ビタミンCより強い抗酸化作用があるとか。
なので、老化抑制が期待できるそうですよ。
また皮膚が紫外線を受けても炎症しずらくなり、UV対策にもなるそうです。
おっと、流行りの「飲む日焼け止め」じゃないですか?
番組では、酒粕甘酒の健康効果も紹介されていました。
-
酒粕の甘酒の健康効果
- 肥満抑制効果
- 睡眠改善効果
じつは、砂糖の方がブドウ糖より少ない量で甘味を感じます。
なので、カロリーを低くすることができるそうです。
それから、甘酒にはプロラミンという難消化性タンパク質が含まれています。
プロラミンはコレステロール排出促進、肥満抑制効果などの生理作用があるそうです。
この効果は、米麹の甘酒より酒粕の甘酒の方が高いようです。
金沢工業大学のホームページに、詳しく載ってましたので引用しておきます。
プロラミンはヒト消化器官内で消化・吸収されにくいレジスタントプロテインと呼ばれる難消化性タンパク質の一種で、食物繊維様物質として機能するとともに、便秘改善やコレステロール排出促進、肥満抑制効果などの生理作用があると経験的に言われています。
~中略~
製造法では「米麹と米のみから製造されている甘酒」、「米麹と酒粕のみから製造されている甘酒」、「酒粕のみから製造されている甘酒」、「米麹のみから製造されている甘酒」の順にプロラミン含有量が少なくなり、甘酒の原材料によってプロラミン含有量に傾向があることがわかりました。
あと、寝る1時間前に甘酒を200ccぐらい飲むと寝つきがよくなるみたいです。
脳内でアデノシンという物質が増えると眠気を感じる、という仕組みがあります。
清酒酵母は、この作用を強めるそうですよ。
中途覚醒しやすくなるからな。睡眠の質が落ちるで。
上述の4つの健康効果以外にも、いろいろありますよ。
月桂冠総合研究所のホームページには、以下の2つも載っています。
- 血圧上昇抑制効果
- 健忘症抑制効果
血圧が上がるのを抑えたり、物忘れも抑制できるとは!
どちらも、マウスを使った実験で効果が確認されてるそうです。
マウスだけじゃなく、この人でも実験お願いしま~す!
もうひとつ。
「日本醸造協会誌 第107巻 第5号」より。
理学博士・渡辺敏郎氏が作成した資料(PDF)には、こんな美容効果が載っていました。
- 悪玉コレステロールの値が低下
- 善玉コレステロールの値が増加
- 排便回数と排便量の増加
- 肌のキメの形が整う
しかも、まだまだ多くの機能性を持つ可能性があるとか・・・。
甘酒、すごくね?
こりゃ、売り上げが急上昇するのもわかりますね。
江戸時代の甘酒について
最後に「昔は、甘酒は夏に飲まれていた」というエピソードを紹介しておきます。
現代では、甘酒は「冬に温めて飲む」というイメージがありますよね。
でも、幕末期の大阪や京都では夏に飲まれていたのだとか。
このことは守貞謾稿(もりさだまんこう)という江戸後期の書物に書かれているそうです。
夏月専ら売り巡るものは甘酒売りなり、京坂専ら夏夜のみこれを売る。専ら六文を一椀の価とす。江戸は四時ともこれを売り、一椀価八文とす。
ちなみに「酒の粕」は冬の季語だけど「甘酒」は夏の季語なんですって。
昔から甘酒が「夏バテ防止の栄養補給に効く」という認識があったのかもしれませんね。
まとめ
甘酒には「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があります。
ちなみに「飲む点滴」と呼ばれているのは米麹甘酒の方で、疲労回復効果があります。
酒粕甘酒にも美容健康効果があり、甘酒の国内売上が急上昇しているとか。
なんと、2012年から4年間で4倍に拡大しているそうです。
ついつい朝食を抜いてしまう方は、米麹甘酒だけでも飲んでみてはいかがでしょうか?
甘酒に含まれるブドウ糖の効果で、脳がシャキッとするかもしれませんよ。
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