家飲みログ、62本目。
今回は、齊藤酒造さんの“英勲 本醸造 京の珀(はく)”という日本酒です。
「京の珀」というのは、京都市にある研究所が開発した酵母の名前です。
なんと、燗酒むきの酵母なんですよ。
真冬に備えて、いろんな温度で遊んでみたい!
ということで、買ってみました。
ではさっそく、レビューしますね。
齊藤酒造「英勲 本醸造 京の珀」を飲んだ感想
今回のお酒は、齊藤酒造さんの直販所で買いました。
事務所棟の1階に、販売所があるんですよ。
なぜこれにしたかというと、京の珀に興味あったから。
「京の珀」って酵母の名前なんですけど、燗酒用に開発されたらしいのです。
その実力や、いかほど。
まずは、常温で味見してみます。
ちょっとだけ、洋ナシやリンゴの香りも。微妙に熟成香も感じる。
でも、酸味や苦みのほうが強くて隠れぎみ。
苦味の方が強いし、もうちょっと寝かせときたい感じやね。
苦味と辛さが後引くけど、味わい全体では穏やか。飲み飽きしにくそう。
これはもう「飲み飽きしにくい伏見の本醸造」って感じのお酒ですね。
とにかく甘味が優しい。そして、苦味が効いてる。
どんな料理でも合いやすいだろうし、冷やから燗酒まで美味しく飲めそう。
和テイストの家庭料理なら、ペアリングで外すことはないでしょう。
で、温度帯をずらして飲んでみたら、素晴らしい燗上がり酒でした。
その感想は、以下のとおり。
ぬる燗(40℃前後)
飛びきり燗(55℃前後)
飛びきり燗、めちゃいいですね。
膨らみのある味わいと、広がる柔らかな酸味。
温かい蕎麦やうどんで一杯やりたい感じ。
齊藤酒造さんは「45~50℃」をイチオシしておられますので、参考まで。
ちなみに、急いで飲まない方がいいかも。
開栓後、徐々にマロヤカ&パワフルになっていきました。
2~3週間ぐらいで、骨太かつ親しみやすい本醸造になりましたよ。
冬の間、一升瓶でゆっくり楽しむのが吉かもです。
追記
齊藤酒造「英勲 本醸造 京の珀」でペアリング
さっそく、ペアリングで遊んでみます。
じつはこのお酒、夏の終わりごろから晩秋までダラダラと飲んでました。
ということで、トウモロコシ。それと、お稲荷さん。
トウモロコシの甘味。お稲荷さんの甘く煮たお揚げ。
酢飯も合わせて、これはなかなかヒットしたペアリングでした。
つづいて、天ぷらと素麺。
天ぷらは、エリンギとか「キス+梅+大葉」がおいしいです。
塩でも天つゆでも、合いますね。
苦味と辛さがあるので、ウォッシュ効果もバッチリです。
口に残った油っこさをサッパリ洗い流してくれますよ。
梅と大葉、ふたたび。
こんどは、ササミを巻いて焼きます。
ササミがよく合ったので、塩麹に漬け込んだ唐揚げも作ってみました。
サッパリした味に仕上がるので、本醸造にも合います。
つづいて、甘辛く味付けした生姜焼き。
これは、いまひとつ。
ここまで味が濃い料理になると、濃醇な味わいのお酒が欲しくなりますね。
“英勲 本醸造 京の珀”は、くどい味わいの料理では活かせなさそう。
味わいが濃くても、ダシとは相性がいいんですよね。
肉じゃがは、とてもいい感じでした。
とくに、飛び切り燗。
アツアツの肉じゃがと、温度が合います。
同じく、飛び切り燗でマッチング。
鮭のホイル焼きと、がんもどき&大根。
しっかりおダシが染み込んでます。
こういうのが、一番いいかも。
まぁ、和食系なら本当になんでも合わせやすいですね。
とくに、燗酒好きの人には使い勝手よいお酒だと思います。
京の珀で作ったお酒、他にも飲んでみたくなりました。
酵母「京の珀(はく)」とは?
さて、何度も登場した酵母「京の珀」について少し説明しておきますね。
ポイント
酵母といえば、日本醸造協会が頒布する「きょうかい酵母」が有名ですよね。
いっぽうで、全国の研究機関が開発した酵母も広く使われてます。
「京の珀」も、京都市の産業技術研究所(以下、産技研)が開発した酵母なんです。
- 京都市産業技術研究所とは?
- 京都市が設立した公的な産業支援機関。中小企業や産業の課題・新商品開発を技術面から支援している。
- 8つのチーム(分子系、金属系、窯業系、製織システム、バイオ系、表面処理、デザイン、色染化学)があり、それぞれの専門知識を活用した支援活動を行っている。
じつは「京の珀」は産技研が開発した「京の○○」シリーズの4作目になります。
(それぞれ、名前の最初に「京の」が付いてます)
ほかの3つも、ご紹介しておきましょう。
京の琴 | 吟醸香が楽しめて、コハク酸などを含む酸も多く作る |
---|---|
京の華 | 純米酒醸造レベルでも酢酸イソアミル(バナナのような香り)を多く生産する |
京の咲 | 冷酒に適した日本酒の製造用 |
京の珀 | 燗酒に適した日本酒の製造用で、コハク酸をバランスよく作る |
どうです?おもしろくないですか?
直近に開発された「京の咲(さく)」と「京の珀(はく)」は、まるで兄弟みたい。
冷酒とか燗酒とか、どちらも「飲み方」を提案するために開発されてるんです。
これって、あまり日本酒のこと詳しくない人にも伝わりやすいですよね。
・・・伝わらないか?
まぁ、小芝居はさておき“英勲 本醸造 京の珀”の燗上がりは本物です。
京都で燗が飲みたくなったら、一度お試しあれ。
大阪国税局の「平成30年度 清酒鑑評会」燗酒部門で優秀賞受賞は伊達じゃないです。
まとめ
齊藤酒造さんの“英勲 本醸造 京の珀”を飲みました。
ウワサに違わぬ燗映えする日本酒でした。
味わいは、伏見らしい優しい甘味としっかりした苦味が主体。
料理のジャマをせず、しっかり引き立ててくれる日本酒です。
開栓後、徐々にマロヤカかつ骨太になっていきました。
寒い季節に買いこんで、ひと冬かけてゆっくり飲むのが良さそうです。
以下、この日本酒の概要です。
醸造元 | 齊藤酒造 株式会社 |
---|---|
分類 | 本醸造酒 |
酒米 | - |
精米歩合 | 65% |
アルコール度 | 15度 |
日本酒度 | +1.0 |
酸度 | 約1.1 |
参考価格 | 978円(税別)/720ml |
オススメの関連記事はこちら